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がん経験を生かす場所って?

がん経験を生かす場所って?

みなさんこんにちは! なかしょーです。

今回は少し真面目な話、『がんの経験をどう生かすか?』ということについて考えていこうかと思います。

高齢化が進む社会の中で、がん患者は増えつつあり、今では2人に1人ががんになるという時代です。またAYA世代(15~39歳)のがんに関する知識を広めようという流れもあり、社会的に『対がん』あるいは『がんと共生するあり方』への関心が高まっています。

それに伴い、数々の企業ががん患者へのサポートを行ったり、行政でも政策が打ち立てられたりしているという状況です。

そのような流れの中で、私たちがん経験者も何かしら貢献できることはないのでしょうか?

今回は「自分のがん経験を生かしたい」と考えている人のために、『がんと共生する社会』において、闘病経験を生かす試みについてご紹介したいと思います。

1. ピアサポート団体

がん経験者どうしを繋ぐ患者会のような集まりを『ピアサポート団体』と呼びます。

世代別やがん種別、そして地域ごとにも様々なピアサポートがあり、その中で情報共有をしたり悩みごとを相談したり、はたまた行政へ向けた提言をしたりと、様々な活動が行われています。

代表的な団体には、悪性リンパ腫の支援団体である一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパンや、若年性がん患者団体stand up! !があります。また参考までに、全がん連に加盟しているピアサポート団体はこちらからみることができます。


emaremoの活動もまた然りですが、『繋がりは力なり』ということで、一人一人の経験も、集まれば大きな力になるのだとひしひしと感じます。がん経験者『だからこそ』の、もっとも身近で、もっとも踏み出しやすい社会へのアクセスこそが、ピアサポートなのかもしれません。

2. CancerX 

誰もががんになりうる時代、当事者として、そしてそのサポートをする立場として、がんになっても動揺しない社会を実現するためのイノベーションを起こしていく。そんな思いで活動している人々がたくさんいる団体、それがCancerXです。

年に一回の大規模なカンファレンスが実施されており、行政、医療、その他様々な分野で問題意識を抱えている方達が意見を交換しています。一部のセッションはyoutube公式チャンネルからの閲覧もできるので、自分ががん経験を生かしてやりたいことを、興味のあるジャンルに結びつけるヒントになるかもしれません。

3. PPI (Patient and Public Involvement) 

臨床試験に患者市民の声を反映させよう』という流れがヨーロッパ諸国で盛んになっており、日本でもここ数年で動き始めたジャンル、それがPPIです。直訳すると『患者市民参画』ですが、臨床試験のデザインや実施に対して、疾患の当事者やそれを取り巻く市民の声を反映させることで、よりよい医療を構築していこうという試みです。

具体的には、試験のスケジュールに患者として提案をしたり、「こういう症状に困っているのって、私だけ?」と思うようなことを共有することで、新たな評価軸が生まれたりする可能性が挙げられます。

日本医療研究開発機構(AMED)のHPからパンフレットがダウンロードできます。海外ではPPIに関連した論文投稿サイトもあり、今後国内においても、それを日本版にアレンジした活動が行われるかもしれません。

臨床試験と聞くと抵抗や難しさを感じる方も多いかもしれませんが、DIPEX Japanにわかりやすい説明があるように、未来の患者さんのためにベストな治療法を模索する試みが臨床試験です。医療のプロである医師と、私たち患者がともに試験を形作ることで、よりよい医療が実現するかもしれません。

以上、かなり真面目な話をしてきましたが、もしこの記事をきっかけに、何かしらやりたいことを見つけてくださった方がいらっしゃれば、それは望外の喜びです。まだまだ『がんと共生できる社会』は成長期であり、これから当事者である私たちがアクションを起こす必要がでてくるでしょう。

それぞれが『ありたい自分』のために輝ける社会となることを願って、この記事を締めくくりたいと思います。

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それではまた次回!

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